以前、ポッドキャスティングのオープン性について、主にパブリッシング側からの視点でパードルがどのくらい低くなったか書いた。一方で一リスナーとしてと少々辛口のコメントをさせてもらえれば、フリーソフトの組み合わせで自動ダウンロードできてある程度気軽にiPodやmp3プレイヤーみたいなもので楽しめるようになったとは言え、普通の家電製品に比べればまだまだとても完成品とは呼べない面もある。
先週のIT Conversationsのアナウンスによると、同サイトで配信に試験的にFeedBurnerを使ったら問題が起きてしまった。原因は実はiPodderにあったのだけれど、4分の1近くのリスナーがiPodderを使っているのでとりあえずFeedBurnerによる運用の方をいったん停止したそうだ。この種の受信ソフトは小さなソフトではあるがいってみればポッドキャスティングの放送プラットフォームの一部だと思う。この種の問題はどんどん改善はされていくのだろうけれど、インフラ全体としてみたときの現時点での信頼性はまだまだだ。iPodderの操作性も、それなりにパソコンを使い込んできた人なら使えるレベルではあるけど、いまひとつといえばいまひとつだ。そもそもに立ち返れば、単にポッドキャスティングというある種の放送を聞くのにiPodderとiTunesと二つのソフトに分かれている必然性も無い。さらに言ってしまえば、将来本当にポッドキャスティングが広く聞かれるようになるころには(無線LAN経由にしろ携帯データ通信経由にしろ)ユーザ自身はPCなんかを意識しなくてもmp3プレイヤーに直接配信されているようになって欲しい。
少々前の記事ではあるが、PC Magazineの辛口コラミストのJohn Dvorak氏は Podcasting: Not Ready for Prime Time(10/24/2004) で辛らつなコメントを書いている。同氏の論点は、対象がMacユーザーとiPodに限定されている点とユーザ・インタフェースの未熟さだ。同氏の記事はよく読んでみると、既存のIT Conversationsのサイトのユーザーインタフェースの使いづらさの話に固執しすぎているようにも思える。その点については「同サイトはポッドキャスト以前から存在していたし、いろいろ盛りだくさんの機能をサポートして複雑な面があるかもしれなが、ポッドキャストのリスナーがそれをすべて使う必要はない。」と指摘されたIT ConversationsのDoug Kaye氏側もブログ(Blogarithms)で反論している。確かにDvorak氏が記事に上げた例は少々偏っていて、まとがずれているようには思うけれど、一リスナーとしてわたしも現時点のポッドキャスティングのリスナーのためのお膳立てはまだまだ改善の余地があるように思う。
そんなことを考えている矢先にPodcast Tunerという非公式アナウンスが飛び込んできた。非公式なのでどこまで正しいかはわからないが、下記のような特徴が並んでいる。少なくともわたしが上で書いた「ポッドキャスティングを聞くというひとつの目的のために何で二つのソフトが必要なのか」という不満はこれで解消されてしまうのかも知れない。
- ワンクリックで受信登録できる
- 新規コンテンツが一目でわかる
- ポッドキャストを聞くのに他のアプリケーションを立ち上げる必要が無い
- 配信登録(OMPL)したショーの説明がブラウザ不要で表示される
- 指定したコンテンツだけをiTunesに送る機能
- シングルクリックで個別の1回の配信を送る機能
一方、PodcastNowの情報によるとiPodderXも新バージョンを発表したようだ。内容はよく見ていないがきっとこちらもどんどん良くなっていくのだろう。
まさに発展途上のポッドキャスティングだ。
Kj
p.s. 上記Dvorakの論旨の一つに、ポッドキャスティングはMac中心だ、もっとオープンになれ、というのがあった。それを読んだころは i-Tunes も iPodder もWindows版があるじゃないか、と内心的外れのコメントじゃないかと高をくくっていた。しかし、上記新登場の PodcastTuner もiPodderXもMac版しか無い。なんだかMac miniが気になる今日この頃だ。
最近のコメント