ポッドキャスティングが世の中に登場してからまだ半年足らず。昨年末には早くも2000ものポッドキャスターがプログラムを配信しているという。このパイオニア・ポッドキャスターは概ね3つのグループに分類できそうだ。
一つ目はDaily Source CodeのAdam CurryやEvil Genius Chroniclesの Dave Slusherに代表されるようなギーク・キャスターとでも呼ぶべきポッドキャスティングの推進者たちだ。彼らはさまざまなしがらみの多い既存の電波による放送の枠組みを飛び出して自分たちの自由な発想で番組作りができるメディアとしてポッドキャスティングを推進している。この人たちの多くは何らかの形で放送業界のプロとしてのバックグランドを持っていて、それをベースにそれぞれの新しい試みの中で質の高い番組を提供している。彼らが挑戦しているトーク系コンテンツとはだいぶん毛色が違うが、Doug Kaye氏のIT ConversationsはIT系のコンファレンスでのプレゼンテーションの録音やインフルエンサーへのインタビューといった新しいジャンルの番組を確立しようとしている。こうしたコンテンツは既存ラジオメディアではなかなか成立しそうに無い。ポッドキャスティングならではの試みである。
二つ目のグループはコンバート・キャスターとでも呼ぶべき、インタネット・ラジオからの参入してきた人々だ。例えばRobとDana GreenleeによるWebTalk Radioのようにこのグループの人々は自分たちの番組を既に何年間もインタネット・ラジオや電波のラジオネットワークでも配信してきた実績を持っている。このグループの人々にとっては、インタネットラジオが電波が持つ地理的制約から放送を解放したのと同じように、録音型デバイス、携帯型デバイスによるポッドキャスティングで自分たちの番組がさらに多くの人々に到達できることに大きな期待を寄せている。ここまでのポッドキャスター数の急激な増加は、このグループの人たちが一斉に配信メディアの一つとして拡張してきたためだ。しかし、彼らが配信するコンテンツはもともと既存ラジオネットワークにもフィットするようなものなので、新しいメディアが加わってもコンテンツには大きな変化は無い。その分、コンバート・キャスターはポッドキャスティングにつてギーク・キャスターよりは幾分さめた目で見ている。彼らが幾分さめた目で見ているもう一つの大きな理由は、彼らの多くが既にビジネス化を真剣に考えるフェーズに入っているからだ。彼らのスポンサーの多くは現時点ではポッドキャスティングという新しいダウンロード、蓄積形のメディアの広告効果に関してまだ懐疑的で、ポッドキャスティングが広告収入を支えるようになるのはまだしばらく先のことだろうと見られている。
三つ目のグループは、ニュー・キャスターとでも呼ぶべきグループだ。これからのポッドキャスターの大多数はこのグループに属すると思われる。ポッドキャスティングは音声や番組のクオリティさえ問わなければ従来型のラジオはもとより、インタネット・ラジオに比べてもずっと少ない投資で始めることができる。また、高度な技術的知識も必要としない。手作りのDJを始めてみたい音楽ファン、今までブログだけで情報発信していた個人や個人ビジネス、町の教会の牧師などなど、自分たちに発信したいメッセージさえあれば、これまで放送とはまったく縁の無かったような人たちも不特定多数のリスナーへの放送を自分たちの手で配信することができるようになった。今、ポッドキャスティングの世界では、こうした人たちによる多様な試みが始まっているのだ。
Kj
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